菓子職人・父の教えをバウムに込めて
神戸 六也
Mutsunari
修行時代に唯一、先代善之助から学びきれなかったお菓子がバウムクーヘン。
職人気質の先代が食材に気を耳をかたむけ一層一層丁寧に焼き重ねていたお菓子。
高温窯の前での繰り返し工程作業に若く未熟な私はバウムクーヘンの計り知れない奥深さ、面白味を見いだせなかった。
シェフとして経験を積み重ね、先代の大好きだったバウムクーヘンにあらためて挑戦してみようと決意。
先代の背中を思い出すほどに引き込まれ、当時、世間の風潮としてあった「パサパサして飲み物がほしい」という概念を覆したくもなった。
四季に応じて調整している自家製ローマジパンをはじめ、食材にこだわり、従来にはない「究極のしっとり感」を追求。
数え切れないほどの試行錯誤を繰り返し、リッチフィールドの一番商品が出来上がりました。
ありがたいことに多くのお客様から『魔法のくちどけ』と高評価をいただくまでになりました。
何よりも勇気をもらったのはバウムクーヘンを食べた父の一言、「こんなバウムクーヘン食べたことないわ、美味い!」を聞いた時は感無量でした。
一番美味しいではなく、お客様の心に一番残るバウムクーヘンを日々、焼き続けています。
神戸・菓子職人の父の言葉より
この父の言葉を心に据え、お菓子作りに日々精進しております。
変わらないことが一流の定義であると父はよく語っていた。
人に優しい善き菓子を作る上で、最も大切な事は
「一、美(眼)二、音(耳)三、香(鼻)四、味(舌)五、善(身)六、心(意)」
是の六つ、「六識」の満たしを心得る事也。
この父の言葉を心に据え、お菓子作りに日々精進しております。